知っておきたい骨代謝とカルシウムの話
サプリメントアドバイザーの児玉晃典です。
本日は
骨代謝とカルシウムについて詳しく見ていきましょう。
【骨代謝】
日常的に運動するアスリートは、骨の代謝が早くなります。
骨代謝とは、破骨細胞が骨を少しずつ溶かし(骨吸収)、
骨の細胞がそれを修復する(骨形成)働きのことです。
骨は常に壊しては作ることを繰り返していますが、
アスリートはこの骨代謝が早いと同時に、
骨量の減少が起こりやすくなります。
また、カルシウムは汗の成分でもあるため、
発汗の多いアスリートはさらに不足しやすくなります。
アスリートが一般の人より多い1日に1000〜1200mgの
カルシウムを摂取すべきと言われるのは、このためです。
食品中のカルシウム吸収率は、
最も良い牛乳で40%程度しかありません。
また、
体内でのカルシウム蓄積量は一定を保たれるため、
摂取しすぎると吸収力は落ちます。
1日に大量の牛乳を飲むアスリートも多いですが、
1ℓ中に含まれるカルシウムは1,100mgです。
ほかの食品から得られる量と合わせると1,500mgとなります。
つまり、
普通の食事をした上で牛乳を飲みすぎると、
カルシウムの吸収率は下がってしまうのです。
【カルシウム吸収率 知っておきたい3つの条件】
カルシウムは吸収率は低く、食品ごとにも吸収率が変わります。
ところが、カルシウムの吸収率は一定ではありません。
実は条件によって異なるのです。
主な条件を3つ紹介します。
条件1)年齢
カルシウムの吸収率は、年齢によって違います。
以下の表を参考してみてください。
条件2)一緒に摂った栄養素
カルシウムを体に吸収し、骨に定着させるためには、
カルシウム以外の栄養素が重要になります。
食事を通してさまざまな栄養素を一緒に摂ることで、
吸収率は大きく変わります。
特に意識したいのが、「ビタミンD」と「マグネシウム」です。
ビタミンDは、魚介類や卵類、きのこ類に多く含まれます。
一方マグネシウムは、
アーモンドをはじめとするナッツ類や海藻類に多く含まれています。
カルシウムを摂るときには、
なるべくこうした食材と一緒に食べるようにしましょう。
条件3)カルシウムの種類
カルシウムにはいくつかの種類があり、それぞれ吸収率が異なります。
牛乳を事例に考えてみましょう。
●リン酸カルシウム 70%
ミルクカルシウムとも呼ばれ、牛乳中に70%ほど含まれています。
このカルシウムは不溶性で、体内で利用されにくいとわれています。
乳製品の体内のカルシウム吸収率が40%というのもそのためです。
●クエン酸カルシウム 25%
牛乳中には25%がクエン酸カルシウムを含み、非常に吸収率の良いカルシウムです。
●炭酸カルシウム 0%
牛乳中には炭酸カルシウムはほとんど含まれておらず、貝殻や卵の殻の成分です。
酸を中和する働きをもっており、胃酸過多症に対する薬剤としても使われます。
そのためなのか、「胃の痛みには牛乳を飲むと良い」と言われることもありましたが、
むしろ胃酸が出過ぎて胃が痛い場合には、
牛乳ではなく、卵の殻を粉末にして摂るほうが症状がおさまるでしょう。
吸収率は、クエン酸カルシウムと変らないといわれています。
【カルシウムのイオン化】
カルシウムはリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、
シュウ酸カルシウムというように、○○酸カルシウムという他の成分と結合した
「化合物」の形をとって食物に含まれています。
口から胃に入り、胃酸によって○酸から離れ、やっとただの「カルシウム」になります。
この事を「カルシウムのイオン化」と言います。
この「ただのイオン化カルシウム」になってはじめて、カルシウムは体内(腸管)から吸収する事ができるようになります。
カルシウムが体内に吸収され、骨や血液の栄養として本当に役立つ為には、腸管に入っていくというハードルがあります。
つまり、カルシウムを摂取するには、
「イオン化率」「腸管吸収率」がとっても大切なのです。